イーサリアム(ETH)は、スマートコントラクト機能や分散型アプリケーション(Dapps)開発プラットフォームとして大きな注目を集めている仮想通貨です。
ETHは、スマートコントラクトによる自動実行機能、高速な送金システム、NFT(非代替性トークン)のマーケットプレイスなど、多様な機能を提供しています。
ETHはDappsの開発やトークン発行のための主要なプラットフォームとして広く使用されており、将来の技術アップデートによってその可能性はさらに広がると期待されています。
この記事では、ETHの基本的な特徴、その歴史、ビットコインとの比較、保有するメリットやリスクについて詳細に解説しています。
ETH(イーサリアム)の特徴
コインの名称 | イーサリアム |
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ティッカーシンボル | ETH |
時価総額 | 約2741億米ドル |
時価総額ランキング | 2位 |
管理方式 | 分散型 |
開発者 | ヴィタリック・ブテリン |
発行枚数 | 約1億2018万ETH |
発行上限 | 無し |
国内取引所での取り扱い | あり |
購入可能な主な取引所 | コインチェック GMOコイン bitFlyer DMM Bitcoin bybit(海外業者) |
スマートコントラクト
イーサリアム(ETH)は、スマートコントラクト機能を核とするその革新性で知られています。
スマートコントラクトは、契約条件が満たされると自動的に行われるプログラムで、ETHのブロックチェーン上で透明かつセキュアな取引を可能にします。
この特徴は、取引の効率化とコスト削減、さらには第三者介入による改ざん防止というセキュリティの向上に寄与しています。
ETH上のスマートコントラクトは、条件を満たせば誰でも利用可能であるため、オープンなサービス提供の基盤を築きます。
分散型金融(DeFi)、非代替性トークン(NFT)、分散型取引所(DEX)など、ETHのスマートコントラクトを活用した数多くの革新的サービスが開発されています。
プルーフ・オブ・ワーク(PoW)方式
イーサリアム(ETH)は、そのコンセンサスアルゴリズムにおいて大きな転換を遂げました。当初、ビットコインと同様にプルーフ・オブ・ワーク(PoW)方式を採用していましたが、2022年9月にプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと移行しました。
PoW方式では、マイナーと呼ばれる参加者が複雑な計算を行い、そのプロセスで多大な電力を消費するため、環境への影響が懸念されていました。
一方、PoS方式では、マイニングの代わりに保有しているETHの量と期間に基づき、ブロック生成の権利が与えられます。
この方式は、PoWに比べて電力消費を大幅に削減できるため、環境に配慮した持続可能なブロックチェーン技術として期待されています。
この重要なアップデート「マージ(The Merge)」によって、イーサリアムはPoSベースのブロックチェーンへと移行し、電力消費量が99%以上削減されたと推定されています。
この変革により、イーサリアムは持続可能性を重視するデジタル経済の新たな標準として位置づけられ、エコロジー面での大きな改善を達成しました。
発行上限無し
イーサリアム(ETH)は、その発行に上限が設定されていない一方で、最近のアップデートにより新規発行量が抑制される方向に進んでいます。
2021年8月に実施されたロンドン・ハードフォークでは、EIP-1559により取引手数料の一部がバーン(焼却)されるようになりました。
これにより、ネットワークの混雑状況に応じてETHの供給量が調整され、新規発行の抑制に寄与しています。
2022年9月には、「マージ」と呼ばれるアップデートで、ETHの発行方式がプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行し、1日当たりの新規発行量が大幅に減少しました。
これにより、ETHは環境に優しくなるだけでなく、その希少性が増し、価値の維持や将来的な価値上昇が期待されています。
分散型アプリケーション(Dappa)
イーサリアム(ETH)は、分散型アプリケーション(Dapps)の構築プラットフォームとして広く採用されています。
Dappsは、中央集権的な管理者が存在せず、ブロックチェーン技術を基盤としたアプリケーションです。これにより、ユーザーは改ざんのリスクがない、信頼性の高いサービスを享受できます。
イーサリアムのブロックチェーンとスマートコントラクトを利用したDappsには、分散型金融(DeFi)サービス、NFTマーケットプレイス、分散型ソーシャルメディアなどが含まれます。
これらのサービスは、イーサリアムの技術によって可能になっており、今後もETHを基盤としたDappsの種類や数は増加し、エコシステムは拡大していくことが予想されます。
NFTで使用されているプラットフォーム
イーサリアム(ETH)は、ERC-721規格を採用することにより、非代替性トークン(NFT)の作成を容易にするプラットフォームとして機能しています。
NFTはブロックチェーン上で発行されるユニークなデジタル資産で、その独自性と希少性から幅広い注目を集めています。
ETH上でERC-721規格に基づいたNFTスマートコントラクトを使用することで、個人や企業は独自のNFTを簡単に発行できます。
この技術は、OpenSeaやRaribleなどの主要なNFTマーケットプレイスにも広く採用されており、多くのプラットフォームがETHベースで構築されています。
NFTの応用範囲はデジタルアート、ゲームアイテム、そしてそれを超えた多様な分野に広がっており、ETHのNFTプラットフォームとしての地位はますます強固なものになっています。
今後もETHベースのNFTの可能性は拡大し続け、デジタル資産市場におけるイノベーションを牽引していくと期待されています。
ETH(イーサリアム)を保有のメリット
送金速度が速い
イーサリアム(ETH)の平均ブロック生成時間は約15秒で、ビットコインの約10分と比較してかなり速いです。
この速さにより、ETHの送金処理も迅速に行え、通常10分以内に完了することが一般的です。
この迅速な送金処理能力は、小口支払いを含む幅広い決済ニーズに対応可能であり、ETHの利便性の高さを強調しています。
高い流動性を維持
イーサリアム(ETH)は主要な多くの取引所で取り扱われており、高い流動性を維持しています。
この流動性の高さは、24時間の取引高が1兆円を超えるほどで、市場の需要に応じて円滑に取引が可能です。
また、この高流動性により、他の仮想通貨と比べて価格の安定性が高く、支払い手段としての利用も増加しています。
Dappsの開発が理想的
イーサリアム(ETH)は、分散型アプリケーション(Dapps)開発のための理想的なプラットフォームとして成熟しています。
ETHのブロックチェーンとスマートコントラクトの組み合わせにより、誰もがDappsを自由に開発し運用することが可能です。
その結果、DeFi、NFTマーケットプレイス、分散型ソーシャルメディアなどの革新的なサービスがETH上で次々と誕生しています。ETHはDapps開発において強固な基盤を提供し、今後も新たなDappsの登場が期待されています。
NFTの作成及び、売買に使用可能
イーサリアム(ETH)は、ERC721規格の実装により、誰もが簡単にNFTを生成できるプラットフォームです。
大半の主要NFTマーケットプレイスがETHベースで構築されており、OpenSeaやRaribleなどでETHに基づくNFTを購入できます。
ETHのブロックチェーンを利用して、NFTの発行、管理、取引の全過程を行うことが可能で、ETHはNFT業界におけるスタンダードとなっています。
トークンの発行が可能
イーサリアム(ETH)の成功の一因は、ERC20規格により、誰でも独自のトークンを容易に発行し流通させられる点です。
この規格を利用することで、新規プロジェクトはICOを通じて資金を調達しやすくなります。
また、事業拡大を目指す既存プロジェクトも、ETH上で新トークンを発行して資金調達することが可能です。
このように、ETHは資金調達のためのプラットフォームとしての地位を確立しています。
バーンメカニズムによって希少性が保たれやすい
イーサリアム(ETH)には発行上限が設定されていませんが、ガス料金の一部を焼却することで供給量の増加が抑制されています。
このバーンメカニズムは、長期的にETHの希少性を高め、その価値を維持し、将来の価格上昇に対する期待を生み出しています。
ETH(イーサリアム)を保有のデメリット及びリスク
スケーラビリティに関する問題点
イーサリアム(ETH)の利用者数と取引量の増加に伴い、処理能力の限界が顕著な課題となっています。
ネットワークの混雑時には取引処理の遅延やガス料金の上昇が発生する可能性があり、これはETHのスケーラビリティ(拡張性)に関する重要な問題点です。
今後の需要の拡大を見越して、イーサリアムのスケーラビリティの改善は、その発展のために不可欠な課題とされています。
ガス料金が高騰する可能性
イーサリアム(ETH)のスケーラビリティ問題により、需要の急増時にガス料金が急激に上昇することがあります。
ネットワークが混雑すると、高いガス料金を設定した取引が優先されるため、ユーザーは通常よりも高いコストを負担する可能性があるのです。
この状況は、イーサリアムのユーザーエクスペリエンスに影響を与え、コスト負担の増加というリスクをもたらします。したがって、ネットワークのスケーラビリティを改善することは、イーサリアムの使い勝手を向上させ、ユーザーの負担を軽減するために重要な課題となっています。
DeFi・ICO規制等が規制される可能性
世界各国の当局はマネーロンダリングや過度な投機を警戒し、分散型金融(DeFi)や新規仮想通貨公開(ICO)に対する規制を強化する可能性があります。
このような規制が実施されると、イーサリアム(ETH)を含む関連市場に影響を及ぼし、ETHの需要が減少し価格が下落する可能性があります。
ETH(イーサリアム)の将来性
イーサリアム(ETH)のスケーラビリティ改善は、ブロックチェーンの処理能力向上に向けた重要な取り組みです。ブロックサイズの拡大やシャーディング、レイヤー2ソリューションのrollupなどが解決策として模索されています。
これらの技術により、トランザクションの処理速度とセキュリティが向上し、スケーラビリティ問題の解決が期待されています。
また、マージ後のPoS移行による効果も大きく、ETHの開発陣は手数料市場の改善やスケーラビリティ対策を主眼に置いたアップデートを継続的に行っています。
「The Surge」、「The Verge」、「The Purge」、「The Splurge」といったマイルストーンに沿ったアップグレードが予定されており、これによりETHの性能がさらに向上することが期待されます。
一方、大手企業によるETHの活用も進んでいます。JPモルガンやメタ(旧フェイスブック)などが自社サービス基盤としてETHを採用し、Enterprise Ethereum Allianceに参加する企業も増えています。
この動向は、ETHの需要拡大に寄与していくでしょう。
さらに、ETHはNFTマーケットプレイスやメタバース領域での利用が拡大しています。
OpenSeaなどを通じたNFTの流通は活発化し、メタバース内でのデジタルアイテムの取引やイベントにもETHが使用されることが予測されます。
これらの進展は、イーサリアムの今後の発展に大きな影響を与える要素であり、ETHがデジタル経済の様々な分野で主要な役割を担い続けることが期待されています。
ETHとBTC(ビットコイン)の違いについて
- 利用目的の違い / ETHはスマートコントラクトプラットフォームとして分散型アプリケーション(Dapps)の開発に利用されることが多いです。一方、BTCは主に決済や価値保存の手段として使われます。
- 機能性の違い / ETHには多様な機能が搭載されていますが、BTCはよりシンプルな送金機能に特化しています。
- スマートコントラクトの有無 / ETHには条件に応じて自動実行されるスマートコントラクト機能がありますが、BTCにはこのような機能はありません。
- 発行上限の違い / ETHには発行上限が設定されていないのに対し、BTCは最大2100万BTCという発行枚数上限があります。
- コンセンサスアルゴリズムの違い / ETHはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)方式を採用していますが、BTCはPoW(プルーフ・オブ・ワーク)方式を採用しています。
これらの違いにより、ETHとBTCは異なる用途や特徴を持ち、暗号通貨市場においてそれぞれ重要な役割を果たしています。ETHは開発の柔軟性と環境への配慮が強みで、BTCはその希少性とシンプルな構造により、デジタルゴールドとしての地位を築いています。
ETH(イーサリアム) | BTC(ビットコイン) | |
---|---|---|
用途 | プラットフォーム Dappsの開発 | 決済 価値保存 |
スマートコントラクト | あり | 無し |
発行上限 | 無し | 2100万BTC |
コンセンサスアルゴリズム | PoS | PoW |
送金スピード | 速い (平均ブロック時間15秒) | 遅め (平均ブロック時間10分) |
環境への影響 | ポジティブ | ネガティブ |
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